TSUBAMEレポート Overflow(2021年4~6月)

はじめに

このブログ「TSUBAMEレポート Overflow」では、四半期ごとに公表している「インターネット定点観測レポート」の公開にあわせて、レポートには記述していない海外に設置しているセンサーの観測動向の比較や、その他の活動などをまとめて取り上げていきます。今回は、TSUBAME(インターネット定点観測システム)における2021年4~6月の観測結果についてご紹介します。日本国内のTSUBAMEにおける観測状況と代表的なポート番号宛に届いたパケットの状況について週次でグラフを公開していますので、そちらもぜひご覧ください。

国内外の観測動向の比較

図1、2は国内外のセンサー1台が1日あたりに受信したパケット数の平均を月ごとに比較したものです。国内のセンサーよりも海外のセンサーの方が多くのパケットが観測されました。国内のセンサーはどの月も1年前の同月より多くのパケットが観測されています。2021年5月に関してはロシアの少数のIPアドレスを送信元としたパケットが国内のセンサーで約2週間観測し続けたため他の月と比較して多くなっています。このロシアの送信元については海外のセンサーでは一切観測されていません。

図1:国内センサーの平均パケット数 図2:海外センサーの平均パケット数

センサーごとの観測動向の比較

各センサーにはそれぞれグローバルIPアドレスが1つ割り当てられていますが、観測状況に違いがあるか表1で国内外のセンサーごとに届いたパケットTOP10をまとめました。国内の一部のセンサーでは、通常のサービスに使用しないポート番号に対するパケットを多く受信していました。通常のサービスで使用するポート番号へのパケット受信状況は、国内センサー間で比較してもパケット数の差は約10%となっており、大きな傾向の違いはありませんでした。海外のセンサーではすべてのセンサーでAndroid ADBで用いる5555/TcpやMicrosoft社のSQLServerで用いる1433/Tcpが含まれており、国内外では傾向が異なる結果となりました。

表1:国内外センサーごとのパケットTOP10の比較

  1番目 2番目 3番目 4番目 5番目 6番目 7番目 8番目 9番目 10番目
国内センサー1 123/Udp 23/Tcp 445/Tcp 14939/Tcp 14939/Tcp 11913/Tcp 6379/Tcp 22/Tcp 1433/Tcp 80/Tcp
国内センサー2 23/Tcp 22/Tcp 6379/Tcp 445/Tcp 1433/Tcp 80/Tcp 2375/Tcp 5060/Udp 2376/Tcp 443/Tcp
国内センサー3 23/Tcp 445/Tcp 6379/Tcp 22/Tcp 1433/Tcp 80/Tcp 443/Tcp 5060/Udp 8080/Tcp 3389/Tcp
海外センサー1 23/Tcp 5555/Tcp 445/Tcp 1433/Tcp 22/Tcp 80/Tcp 6379/Tcp Icmp 443/Tcp 3389/Tcp
海外センサー2 445/Tcp 139/Tcp 23/Tcp 6379/Tcp 22/Tcp 1433/Tcp 123/Udp 5555/Tcp 5060/Udp 2375/Tcp
海外センサー3 23/Tcp 6379/Tcp 22/Tcp 1433/Tcp 5060/Udp 80/Tcp 5555/Tcp 443/Tcp 389/Udp 81/Tcp

その他

2021年6月15日から18日にかけてJICAによるCSIRT研修を行いました。期間中、ベトナムのAISに対して、TSUBAMEのデータを使用しJPCERT/CCが行っている日々の分析方法についてトレーニングを行いました。

おわりに

いかがでしたか。本記事は初号ということもあり、四半期ごとのレポートでは紹介していない海外センサーとの比較や傾向の違いについてご紹介しました。今後もレポート公開に合わせて定期的な発行を予定しています。特異な変化などがあった際は号外も出したいと思います。
皆さまからのご意見、ご感想も募集しております。掘り下げてほしい項目や、紹介してほしい内容などがございましたら、お問い合わせフォームよりお送りください。最後までお読みいただきありがとうございました。

サイバーメトリクスグループ 鹿野 恵祐

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